協会について
会長のごあいさつ 村上 公哉 芝浦工業大学 建築学部 建築学科 教授
謹んで新春をお祝い申し上げます。
まずは当協会の活動を支えて頂いている会員の皆様,またご支援を頂いている関連団体や業界関係者の皆様に心より御礼を申し上げます。
さて,皆様はどのような新春を迎えられましたでしょうか。私は生まれ故郷である島へ帰郷することが新春の恒例となっています。私の故郷は生名島(いきなじま)という瀬戸内に浮かぶ小さな島の一つです。この島を知らない方は多いかと思いますが,“ しまなみ海道” という名を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60km に及び,7 つの橋と6つの島々をつなぐ海の道でありサイクリストの聖地としても知られています。機会がありましたら瀬戸の青い海,緑豊かな島々,美しい橋が織り成す多島美の景色を楽しみに訪れてみてください。
この小さな島々にもグローバルな新たな変化が現れつつあります。生口島(いくちじま)には,ラグジュアリーリゾート“ アマン” の創始者が立ち上げた旅館ブランド“Azumi(アズミ)” の第一号がオープンしました。これはかつて製塩業や輸送業で栄華を極めた豪商の古民家が宿として生まれ変わったものです。また佐木島(さぎしま)には,世界的建築家ビャルケ・インゲルス氏率いるBIG(Bjarke Ingels Group)が建築デザインを手がけたヴィラが誕生しようとしています。BIG は,LEED-NC v4 プラチナ認証を取得しているGoogleの新社屋「Bay View」が有名ですが,環境先進国デンマークの首都コペンハーゲンにある廃棄物発電所(Copenhill)の設計でも有名です。それは清掃工場ですが,屋上にスキー場が,壁面にクライミングウォールが設けられるなど遊び心あふれるデザインであるためです。本施設には昨年10 月に実施した当協会の海外視察「カーボンニュートラルに向けた建築設備の役割」で訪れる機会がありとても感慨深く感じています。
彼が提唱する概念に「快楽主義的持続可能性(ヘドニスティックサステナビリティ:hedonisticsustainability)」があります。これは,「深刻に考えたり我慢や辛抱が必要と思われがちな持続可能性を,使う人が楽しくワクワクするようなデザインを通じて実現しようとする,建築・都市デザインにおける新しい考え方」とのことです。
さて十干十二支(じっかんじゅうにし)でいうと,本年は60 種類の内42 番目の「乙巳(きのとみ)」に当たります。「乙」は十干の2 番目で,しなやかに伸び広がっていく様子を表し,「巳」は再生しながら成長していく状態を意味します。そのため乙巳の年は,再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年といわれています。
当協会は,3 年後に90 周年を迎えます。これからも会員の皆様,また関連団体や業界関係者の皆様とともに建築設備分野の持続的な発展に尽力したいと思っております。そのためにも皆様が楽しくワクワクする協会活動に努める所存ですので,引き続き皆様のご理解とご支援をお願い致しまして,新年のご挨拶とさせて頂きます。
協会の目的
1938年(昭和13年)制定された当協会の定款で、その目的を「この法人は、都市、建築物における計画、構造、設備、機器、材料、施工、管理等の建築及び設備の綜合的進歩発展に関する事業を行い広く社会に寄与する事を目的とする。」としております。
協会の名称の中の"綜合"の意味合いについては、1938年(昭和13年)の総会で特に検討され、"ただ集める"という意味の"総合"ではなく、関連分野の各設備を全て有機的に統合して夫々を向上させていくという意志が込められています。
時代とともに、当協会の活動は変遷してまいりましたが、現在の活動の重点は、地球環境、室内環境を含めた建築設備にかかわる技術課題の解決と発展に寄与する事業を行うこととしております。協会活動の現状・成果を月刊誌「BE建築設備」に掲載し、会員各位に告知・還元しています。
またその一環として、正に綜合という名にふさわしい優れた「環境・設備デザイン」を具現化した作品に対して賞を贈り、広く社会に「環境・設備デザイン」並びにそれに携わった人々の価値を認知させる顕賞制度を設け、実行しております。