協会について

会長のごあいさつ 村上 公哉 芝浦工業大学 建築学部 建築学科 教授

まずは当協会の活動を支えてくださっている会員の皆様、またご支援を頂いている関連団体や業界関係者の皆様に心より御礼を申し上げます。
そして当協会は、1938年に創立され86年目を迎えます。建築設備分野の発展の一翼を担って参りました当協会の歴史に改めて敬意を表したいと思います。


気候変動が一般の方々にも感じられるほどになり、建築や街づくりにおいても環境配慮やカーボンニュートラルの実現が当然のようになりました。また、大規模地震のみならず気候変動に伴う集中豪雨などの自然災害が顕著になり災害時の機能継続のためのエネルギーレジリエンスも益々重要視されて来ています。建築や街の付加価値として、知的生産性やウェルネスとともにカーボンニュートラルやエネルギーレジリエンスなどが不可欠要素となり、今後ともこれらに大きくかかわる建築設備分野の社会的価値は益々高くなっていくと思います。


ただ、これらの価値は既存の建築設備技術の延長線上にあり、ある意味先人や諸先輩方の尽力によるところが大きく、今後とも建築設備分野がさらに発展をしていくには“ 新たな革新” が必要不可欠と考えます。それが何かという答えがわかっていれば苦労はありませんが、是非とも今後の新たな革新への独創を期待したいと思います。個人的には、二つの観点の進展を期待しています。


一つ目は社会に溢れているデータから価値を引き出すデータサイエンスの取り込みです。設計・施工段階後の運用段階において、建築、とくに設備機器では日々膨大な運転実績データが蓄積されています。これらビッグデータのなかから建築や街の付加価値向上に有益な情報を集め、分析や解析し、活用する技術とサービスの創出は新たな建築設備分野の広がりや進展に寄与し、Society 5.0の実現にも大きく貢献します。二つ目はエネルギー供給の将来構造への適応です。建築設備は供給される電気や燃料を基に機能しますが、今後大きく供給構造が変わることが予想されます。電気では出力が不安定な再生可能エネルギー電源比率が高まり、需要側においても出力調整が求められます。また燃料ではカーボンニュートラルに向けグリーン水素の活用が選択肢の一つとして出てきており水素活用に向けた設備機器および利用技術の開発も重要になります。さらに前者では、建築にとどまらず電気自動車(EV)を包含したものが想定されておりモビリティを含めた建築設備の技術開発が期待されます。


これらを実現する上で、建築設備綜合協会の“ 綜合” の理念に込められた「関連分野の各設備に関わる全ての英知の有機的統合」がまさに強みになる時代を迎えようとしています。
当協会の活動が建築設備分野のさらなる発展に貢献することを抱負とし、挨拶とさせて頂きます。

協会の目的

1938年(昭和13年)制定された当協会の定款で、その目的を「この法人は、都市、建築物における計画、構造、設備、機器、材料、施工、管理等の建築及び設備の綜合的進歩発展に関する事業を行い広く社会に寄与する事を目的とする。」としております。

協会の名称の中の"綜合"の意味合いについては、1938年(昭和13年)の総会で特に検討され、"ただ集める"という意味の"総合"ではなく、関連分野の各設備を全て有機的に統合して夫々を向上させていくという意志が込められています。

時代とともに、当協会の活動は変遷してまいりましたが、現在の活動の重点は、地球環境、室内環境を含めた建築設備にかかわる技術課題の解決と発展に寄与する事業を行うこととしております。協会活動の現状・成果を月刊誌「BE建築設備」に掲載し、会員各位に告知・還元しています。

またその一環として、正に綜合という名にふさわしい優れた「環境・設備デザイン」を具現化した作品に対して賞を贈り、広く社会に「環境・設備デザイン」並びにそれに携わった人々の価値を認知させる顕賞制度を設け、実行しております。

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